【①導入編】イギリスの2つの運河でSUPしました!

2019年9月10日にイギリス・ウェールズの北東にあるランゴレン運河(Llangollen Canal)、9月13日にロンドン市街地北部にあるリージェンツ運河(Regent's Canal)でSUPをしました。本記事ではその模様を紹介します。  

今回のイギリス運河SUPの目的は2つ。イギリスの運河文化や空間利用のエッセンスを学んで日本で活かすことと、イギリス運河SUPのツアー化の検討です。あと、イギリスの運河でSUPしたい人向けの情報提供です。

内容盛りだくさんなので、導入編、準備編ランゴレン運河編リージェンツ運河編の4つに分けて書いていきます。 


まず、イギリスの運河事情について説明します。 イギリスでは、18世紀から産業革命初期を支えた物流システムとして、運河と舟運が高度に発達しました。

運河の登場によって石炭の価格は半減し、その成功に目をつけた投資家は過剰に運河建設と運営会社に投資しました。1790年代後半には「キャナルマニア(Canal Mania)」と呼ばれる熱狂的な運河建設ラッシュが起きました。

その結果、1800年半ばには、イギリス全土で総延長4000マイルの運河が整備されました。しかし、1825年に鉄道が営業を開始すると、あっという間に鉄道に取って代わり、運河は輸送手段として利用されなくなりました。

運河運営会社はどんどん合併し、鉄道会社が運営を引き継いだりもしましたが、誰も運河を利用しないので管理されずに朽ちていきました。  

しかし、1944年に作家のトム・ロルト(Lionel Thomas Caswall Rolt)が「ナローボート(Narrow Boat)」という船で運河をめぐった旅を記した本を出版し、上流階級の人々が運河に魅了され始めました。

戦後の余裕から、労働階級の人々のレクリエーションへの要求が高まり、自然保護活動のナショナル・トラストが発展するなか、運河もレジャーとして復活しようとする機運が一気に高まりました。

そのようななか、1946年に水路​​システムの保存と投資のための内陸水路協会が設立され、1948年には運河は国有化されました。その後、1968年に運河をレジャー用として管理運営する法律が作られ、その管理運営をイギリス水路委員会(BW)という半官半民の公団が担うことになりました。

BWは、国の補助の他に運河使用許可証(ライセンス)の発行などの自主事業から収益を得ており、運河の維持管理として水路や水門の整備、船への給水・汚物処理などを行いました。

2012年には後継の民間組織としてCanal&River Trust(CRT)が設立され、新たな管理体制のもと運河が各地で今も利活用されています。

ちなみに、CRTになってから閘門のメンテナンスなどの運河管理が悪くなったようですw トゥパスと呼ばれる運河沿いの側道(昔の馬曳き用の道)も、本来は船のために使われるのですが、最近は自転車の往来が激しくなり危険なシーンが増えてきているそうです。

現在、イギリス国民のメジャーなレクリエーションとなったナローボートですが、住居として使う人が増えているそうです。現在は2万人程度いるようで、低所得だからというより、そういったライフスタイルを求めて定住する人が多いそうです。中古ボートでも1千万円程度はするし、メンテナンスも必要なので、実際に住むにはハードルが高いかもしれません。

といった感じで、ざっくりとイギリスの運河についてご紹介しましたが(ナローボートなどについて知りたい人はネットで調べてみてくださいw)、より詳しく知りたい人はロンドンキャナルミュージアムというマニアックな博物館があるので、そちらに行ってみてください。運河好きなら何時間でもいられる楽園ですw